• 学会最終日。夜は遅いが朝も遅い学会である。あと30分前にずらせばちょうど良いと思うのだが、そうできないのは会場の都合かしら?
  • ということでまたのんびりとでかけてホテルの近くのカフェで朝飯を食い、ぶらぶらと会場へ歩いていく。シンポジウムが始まる前にポスターを回収し、EvoDevoのシンポジウムへ。佐藤さんは未発表データも交えつつ、ナメクジウオ、ホヤ、脊椎動物の系統関係に関する最近の知見と、そこから発生を眺めると脊索動物の発生の進化はどのように見えてくるか、という話。ナメクジウオがホヤよりも先に脊椎動物の系統から分かれた、にも関わらず発生の分子機構を見るとナメクジウオ脊椎動物は非常に良く似ている、ということになると、脊索動物の発生の大元のところはナメクジウオ/脊椎動物タイプの発生であり、ホヤの発生は成体における固着生活を獲得したために非常に変型されたものだ、という図式が見えてくる。つまり脊椎動物はホヤのようなpelagobenthicな生活をする祖先から幼形成熟によって生まれたのではなく、もともと自由生活(遊泳性?)の生物だった、ということになるのだろう。(もちろんその自由遊泳生活者のさらに前は?という問題はまだ残るが。)とても面白い。ホヤの成体が新たに獲得された新奇形質であるなら、その構築メカニズムはどのように由来したのか。ホヤの変態機構の解明がキーになるのだろうな。
  • 岡田先生は今回も急遽内容を変更して昨晩と同じBritten-DavidsonモデルとSINEの関連性の話。よほどお気に入りのようだ。確かに面白い話だと思う。MITEにも遺伝子発現に影響を与えている例が知られているが、さてこれがどのくらいジェネラルな現象なのか。シスエレメント進化に反復配列がどの程度の規模で寄与しているのか。
  • 午後からは多重遺伝子族の進化のシンポジウムを聴く。重複した遺伝子が協調進化したり、逆に加速的に多様化していく例など。自分の仕事に引きつけていろいろと考えさせられる。
  • 夕方は脳の進化のシンポジウム。途中で震度2かもう少し強いくらいの地震があってちょっとびっくりした。鳥の脳の話がとても面白かった。鳥の脳の進化とほ乳類の脳の進化はどこが違うのか、なぜ違うのか、という話。
  • 夜はパネルディスカッション。ああいう場でなかなか深い議論には進まないだろうが、それぞれの研究者の個性が見えたのは面白かった。
  • ということで21:30に学会のプログラムはすべて終了。

  • ホテルは都庁のすぐ隣にあり、窓を開けると都庁が見える。東京都がオリンピック誘致の国内候補に決まったとかで、都庁がライトアップされていた。

  • 東京はもうすでに1回オリンピックやっているわけだし、他所にゆずってあげれば?と思うし、一方、福岡は福岡で財政難でひいひい言ってるわけで、候補がどっちに決まっても応援したいという気にはまったくならない。ていうか止めておけば? と思う。まあそれで(たとえ誘致が成功しなくても)得をする人たちがどこかにいるからやろうとするんだろうね。