• ついつい読んでしまった『電波男』。うーん……。著者は「負け犬」や「DQN」を仮想敵として、そんな連中よりもオタクの方がよほどピュアで心優しいひとびとであり、またオタクは現実から逃亡した敗者などではなく、実はオタクこそが「勝ち組」なのだ! と高らかに主張する。まあ極論なので、ある意味うなづけるところもあるが、それは言い過ぎ、というところも、もちろんたくさんある。僕は『負け犬の遠吠え』は大変おもしろく読んだが、しかし酒井順子氏的な(バブルの名残を引きずりすぎているような)女性は、現実に目の前にいたら「苦手だなあ」と思うので、本田氏の気持ちも分からないではない。けど、『負け犬』で書かれたようなタイプの女の人って、世の中にそんなに多い? そんなことないよね? 現実にはいろんな人間がいるのに、女の人一般をそういうステレオタイプにわざわざ押し込めてしまって、そんなやつらは嫌いだ! と叫ばれても、「そうじゃない人だってたくさんいるのに……」と思ってしまうんだよね。