セミナーのおしらせ

  • 来週、6月の8日に広島大学総合科学研究科でセミナーを行います。お話はコケを材料に植物のEvo-Devo研究をしている若手の研究者、榊原さんです。お近くの方、興味のある方はぜひお越し下さい。

第335回生命科学セミナー
日時:6月8日(木) 16:20- 17:50
場所:広島大学総合科学部J303教室
演題: 陸上植物の形態進化解明へのアプローチ 〜異なる世代に生じる茎葉構造の進化を探る〜
演者: 榊原 恵子 氏 (広島大学 大学院理学研究科 学振特別研究員PD)
要旨:分子発生進化学は発生に関わる遺伝子の配列や発現様式・機能を比較することで生物の形態進化を推測する学問領域である。動物における研究では、昆虫の翅と脊椎動物の肢のような独立に進化したと考えられる器官の発生が共通の遺伝子セットによって制御されていることがわかってきた。
 多細胞生物の中で動物と並ぶ大きな一群を形成する陸上植物はn世代と2n世代の両方に多細胞体制を持つ。陸上植物のうち、コケ植物はn世代が優占し、2n世代はn世代に寄生するが、被子植物ではn世代は数細胞からなり、2n世代が優占し茎葉構造を持つ。陸上植物に近縁な藻類であるシャジクモ藻類がn世代に多細胞体制を持ち、2n世代は単細胞であるので、陸上植物の約4億年の歴史の過程でn世代が短縮し、2n世代が大型化したと考えられる。コケ植物の一部はn世代に茎葉構造を持ち、これは被子植物に見られる2n世代の茎葉構造とは独立に進化したと考えられる。被子植物の2n世代に形成される茎葉構造の形成もコケ植物のn世代の茎葉構造と共通の発生遺伝子セットを用いているのだろうか。コケ植物ヒメツリガネゴケを用いた研究例を紹介する。